2013年4月27日

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精密板金豆知識 曲げの限界加工 最小曲げ高さの参考値


 

ステンレス バネ材 曲げ加工

 

前々回の記事で、板厚とダイの溝幅について書きました。

そこから、曲げの限界高さの寸法がみえてきます。

こちらは、最小フランジなどと表現することもあるようですね。

最小と言ってますが、無理なく曲げれる範囲でということになります。

 

 

 

 

1V型

 

板厚とダイの限界幅の関係については、

 

4 × t = 限界のダイ溝幅(90°曲げの加工の際)

 

というように書きました。

今回はこれを基準に書いていきます。

 

 

 

 

 

ワークショップ

 

曲げ加工は、上のヤゲンと下のダイに板材を挟んでの加工になりますので、

板がこの溝に掛っていなければなりません。

曲げのはじまる根元は、ちょうど溝の位置になりますので

最小高さは溝の幅の半分・・・

と思いがちですが、そうではありません。

 

 

 

 

 

曲げの縮みと伸び

前回の記事で書いたように、曲げ加工をする際に、板材は伸び縮みします。

 

海内工業の場合ですが

sus304の1㎜の板材 上の金型は、内R0.6、下の型は、4vの金型を使用の場合。

この場合の補正値は、0.75㎜になります。

(板の外から測った場合で考えています。内寸基準で考えた場合は別)

 

 

 

 

 

精密板金加工の金型

 

上記の寸法から考えますと最小曲げ加工高さは

4Vを使用した時、溝幅の半分の2㎜

そこに曲げ補正値0.75㎜をプラス

さらにそこに溝に引っ掛かけるようにするために+0.1㎜します。

⇒(この分の長さを取らないと曲げ加工の途中で、溝へのかかりが滑ってしまいます。

この値は、金型の摩耗が少ない状態で1.0㎜以下の板厚の10%、1.2㎜〜3.2 ㎜で20%ほどになります)

 

2㎜+0.75㎜(補正値)+0.1㎜=2.85㎜

 

最小曲げ高さは、2.85㎜ということになります。

よって、1.0㎜の板外から測った最小曲げ高さは、約3.0㎜ということになります。

 

 

 

 

 

ベンダー加工機のある風景

 

そして、上に書いてある計算を数式にしてみると・・・

4 × t (限界ダイ溝幅) ÷ 2 (溝の半分の値) + 補正値 + 0.1t(or 0.2t)

これを整理すると

 

曲げの限界高さの参考値 = 2.1t + 補正値

(板厚1.2㎜以上は、2.2t)

 

となります

 

 

これは補正値がわからないと出てきませんね

曲げの補正値表ですが、やはりアマダさんの表が一番まとまっていますね

 

アマダさん常用片伸び表

曲げ補正値表

 

今のCADソフトですと自動展開の機能なども充実していますので必要ないと思われがちですが

仕組みを知ることで、一歩抜き出た設計ができるのかもしれませんね♪

 

よかったら参考にしてみて下さい(^^ゞ

 

 

 

 

 

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